伝統工芸を結集した「動く美術館」曳山紹介


長浜の曳山

 曳山とは、祭礼の際に引いたり担いだりする山車(出しもの)のことで、長浜の曳山は江戸時代の職人による伝統工芸を結集した精巧な飾金具や彫刻、当時の有名絵師が描いた絵画やヨーロッパなどで製作された幕類で彩られ「動く美術館」とも呼ばれています。
 長浜には13基の曳山が伝わっており、長浜の町を13に分けた山組が各曳山を所蔵しています。13基のうち長刀山は、露台に太刀を飾る飾り山形式の曳山です。残りの12基は、前方が、子ども狂言(歌舞伎)が行われる4畳半の舞台となっており、幕で囲まれた後方は、子どもたちの楽屋になっています。また、亭(ちん)と呼ばれる2階部分では囃子(しゃぎり)を演奏します。長刀山と舞台を備えた12基のうち4基の計5基が毎年祭に出場します。

曳山(山車)解説

長浜曳山祭の曳山の高さは約6m~9m、幅は約3m~3.5m、重さは約4.5t~6.2tあります。多くは江戸時代の中頃(1700年代)に造られました。各曳山は大きく分けて次の4つの部分があります。

だし
舞台…
舞台では、子ども狂言が演じられます。
楽屋…
舞台の後方の幕に覆われたところを楽屋といいます。楽屋では、子ども役者が出番を待ったり、太夫と三味線が浄瑠璃を語ったりします。
亭 …
曳山の2階を亭といいます。
亭の中では、笛をふいたり太鼓を叩いたりして「シャギリ」(お囃子)を演奏します。
下山…
曳山を支えている、土台の部分です。

長浜 13基の曳山紹介

長刀山(小船町組)

正面

背面

側面

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長刀山の特徴

別名を蓬莢山(ほうらいさん)ともいいます。子ども狂言を演じる12基とは違った形で、大きな3つの車輪が付いています。上部には太刀渡りに用いた太刀とのぼりを飾り付けます。

この山車は登り山では、八幡宮へは行かず14日に直接お旅所へ据え付けられます。戻り山では、先頭になって出発します。

安永8年(1779)に、藤岡甚兵衛作

関連資料

長刀組甲冑

猩々丸(船町組)

正面

背面

側面

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猩々丸の特徴

船町組にちなんで御座船型の曳山。

亭はなく、露台となり周囲に幕を張る。

舞台屋根 「唐獅子の谷川を渡る」の象嵌鍍金飾金具は奥村菅次の作
台輪 「波」の飾金具は西村清琴の下絵で京都「尾勘」の作
鼻金具 弘化4年(1847)国友一貫斎充俶、冨岡勘右衛門直久の作
見送り彫刻 彫物は中国三国時代の蜀の武将・関羽と張飛の木造彩色像

曳山は安永3年(1774)藤岡和泉一富の作

鳳凰山(祝町組)

正面

背面

側面

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鳳凰山の特徴

四柱造りで、むくり屋根
亭上 「鳳凰」の木彫
舞台格天井 絵天井となり華麗
舞台障子 「花車の図」は大塚岐鳳の筆
舞台屋根 「鶴の巣籠り」の象嵌造りの飾金具は奥村菅次の作
台輪 「浪に竜」の飾金具は姉川堂良忠の作
楽屋襖 「楽太鼓の図」は狩野永岳の筆
のぼり 「天覆」「地載」の文字は賀茂胡保の筆
胴幕 ペルシャ毯
見送り幕 16世紀ベルギー製の飾毛綴で重要文化財

曳山本体・亭ともに文政12年(1829)の作
建造は藤岡和泉の作

関連資料

鳳凰山見送幕

高砂山(宮町組)

正面

背面

側面

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高砂山の特徴

八棟造り
舞台障子 「牡丹に小禽の図」大塚岐鳳の筆
台輪 半肉彫鍍金の「兎が波上を走る」の飾金具
舞台前柱 「雲と垣根に瓢箪唐草」の透彫り飾金具が全体を覆っている
楽屋側面 外欄間に「柿樹上に群猿の遊ぶ」の木彫
見送り幕 全面刺繍「八仙人の図」と綴織「唐子遊戯の図」がある

曳山本体は延享2年(1745)の修理記録があり、それ以前の建造とされる
亭は文化13年(1816)、藤岡重兵衛安則の作

壽山(大手町組)

正面

背面

側面

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壽山の特徴

八棟造り
舞台前柱 「昇り竜・降り竜に雲と人物」の飾金具は藍水堂一徳の作
昇り竜・降り竜は一徳が13年をかけた苦心の作
楽屋襖 「竜の図」は中谷求馬の筆
胴幕 中国蘇州製の総刺繍「竹林七賢人の図」となっている
見送り幕 中国明時代の綴織のものと毛綴織の2枚がある

山本体は天明2年(1782)藤岡和泉利盈の作
亭は後年の作だが、作者等不明

関連資料

市指定文化財 長浜祭翁山見送幕フランク王国

翁山(伊部町組)

正面

背面

側面

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翁山の特徴

八棟造りで、前後に唐破風をつける
舞台障子 「花鳥図」は、長谷川玉峰の筆
舞台屋根 「竜虎」 天保7年(1836)膳所の奥村菅次父子の作
面幕 正面向かって左に「鯉の滝登り図」 同じく右に「松樹上に猿の図」(猿には猿毛を植えつけている)
胴幕 紺羅紗に「牡丹に唐獅子の図」を大きく刺繍
見送り幕 16世紀ベルギー製の飾毛綴で、重要文化財のものと市指定文化財のものがある

曳山本体は明和2年(1765)藤岡和泉一富の作
亭の建造年・作者不明

常磐山(呉服町組)

正面

背面

側面

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常磐山の特徴

四柱造り、むくり屋根で、前面へ丁字形に同様の構造の屋根を張り出す
棟上 「ろじ」の木彫
舞台障子 「花鳥図」は嘉永4年(1851)横山清暉の筆
楽屋側面 「唐獅子」の木彫
背面の欄間 「唐獅子」の木彫
のぼり 「乾坤留一気」「古今仰同塵」の文字をあらわす
胴幕 綴錦で「源義家勿来関を通る図」と「新羅三郎義光と豊原時秋との足柄山の別れの図」を織りだす
見送り幕 大正15年(1926)山鹿清華の作のものと太伯山錦のものがある

山本体の製作年代は不詳、亭は文政元年(1818)の作

萬歳樓(瀬田町組)

正面

背面

側面

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萬歳樓の特徴

上(前)下(後)二段に分かれる 上亭棟上に宝珠を置き、下亭屋根には宝剣をたてる
舞台屋根 「桐に鳳凰」
舞台前柱 色絵象嵌「高砂の尉と姥」の飾金具は奥村菅次の作
面幕 「竜」は中国製の太伯山錦の優品
胴幕 「雅楽・楽器尽し図」の綴織で下絵は沢宏靭の筆
見送り幕 飾毛綴と中国製刻糸織の2枚がある

曳山本体・亭ともに享和2年(1802)
藤岡重兵衛安道・市松安則父子の作

孔雀山(神戸町組)

正面

背面

側面

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孔雀山の特徴

前部後部からなり、屋根は四柱造りを主体に千鳥破風などを付け複雑な構造
舞台障子 「芙蓉に四十雀の図」八木奇峰の筆
舞台屋根 金銅製の尾羽を広げた「孔雀」を置く
胴幕 「虎の子渡し図」の刺繍の下絵は、森徹山の筆とも岸駒の筆ともいわれる
見送り幕 毛綴で草花に孔雀三羽を織りだす「萠春の図」 昭和3年(1928)山鹿清華の代表作

曳山本体は宝暦年間(1751~1764)頃の作という
亭は文化12年(1815)藤岡重兵衞安則の作

青海山(北町組)

正面

背面

側面

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青海山の特徴

四柱造り  棟上に「飛竜」の木彫を置く
舞台前柱 「飛燕に雲と浪」の飾金具
胴幕 紺羅紗地に波頭に乱舞する「飛燕」を色糸や金糸であらわしている
見送り幕 中国明時代の官服を仕立てたもの、「飛燕に波図」のもの、「飛竜に青海波」のものの3枚がある

月宮殿(田町組)

正面

背面

側面

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月宮殿の特徴

重層、上層は六角円堂、下層は方形となっている
舞台前柱 「鯉の滝登り」の飾金具の下絵は、狩野孝信の筆
面幕 舞台正面に中国明時代の刺繍ですぐれた作品がある
胴幕 ペルシャ毯
見送り幕 刻糸織で房金具は国友(長浜)の永川堂完雄の作

曳山本体は天明5年(1785)岡田惣左衛門重貞の作
亭は嘉永3年(1850)藤岡重兵衛光隆の作

諫皷山(御堂前組)

正面

背面

側面

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諫皷山の特徴

重層
宝形造りの亭屋根露盤上に中国の故事「諫皷」にちなむ太鼓と鶏の木彫を置く
上層の天井には「鳳凰」の彩色図がある
舞台屋根 「舞鶴」の飾金具 奥村菅司の作
舞台前柱 色絵象嵌「竹林七賢人」の飾金具。天保14年(1843)目川(栗東)の奥村寿一の作
舞台屋根軒下 「雲竜」の木彫
のぼり 「朝鮮のぼり」と俗称されるもので緋羅紗地の「昇り竜・降り竜」をあらわす

曳山本体は安永3年(1774)藤岡和泉一富の作
亭は文政元年(1818)田中加平治愽君の作

春日山(本町組)

正面

背面

側面

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春日山の特徴

四柱造りで、むくり屋根
舞台障子 「紅葉に鹿の図」は鳥羽上町(長浜)の北村李軒の筆
舞台前柱 鍍金や鍍銀の施された写実的な「葡萄にリス」の飾金具
舞台高欄親柱 山号にちなんだ「紅葉に鹿」の飾金具があり、明治11年(1878)東京の一柳友寿の作
見送り幕 緋羅紗地に刺繍の「中国人物の図」をかける

曳山本体は平右衛門の作と伝わる
亭は後年の建造となるが、いずれも年代は不詳