企画展・特別展

知善院―長浜に受け継がれた至宝―」

 知善院(ちぜんいん)(長浜市元浜町)は、秀吉によってつくられた城下町・長浜にある寶生山(ほうしょうざん)勝安寺(しょうあんじ)とも呼ばれる天台真(しん)盛(せい)宗の寺院です。もとは戦国時代、湖北を支配した浅井長政(あざいながまさ)の居城・小谷城下にありましたが、天正2年(1574)羽柴秀吉(1537-1598)によって、長浜城築城とともに城の鬼門である北東の現在地に移されました。知善院のある地区は、かつて知善院町と呼ばれ、長浜曳山祭を支える山組のひとつ北町組の場所にあたります。また本尊の阿弥陀如来、日光・月光菩薩は、秀吉が中国遠征の際に、播磨・書写山円教寺(しょしゃざんえんぎょうじ)から持ち帰ったものといわれています。
 曳山を生んだ長浜の町を造成した秀吉との関わりに加え、知善院は、曳山祭を彩る子ども狂言(歌舞伎)の舞台である曳山本体とも大きな関わりがあります。知善院所蔵の≪十一面観音坐像≫(重要文化財)を安置している観音堂は、元禄8年(1695)町民の依頼によって藤岡甚兵衛(ふじおかじんべえ)の手で建てられました。藤岡甚兵衛は、長浜のほとんどの曳山建造にあたった長浜伊部町(長浜市元浜町)居住の大工・藤岡家一門の初代棟梁にあたります。
 また知善院は、鳳凰山の舞台障子絵をはじめ曳山に添えられた多くの絵画を手掛けた長浜船町(長浜市朝日町)居住の画家・山縣岐鳳(やまがたぎほう)(1776-1847)の法要が営まれたことで知られ、岐鳳の墓が境内に残されています。
 本展覧会では、知善院の小谷城時代の姿を甦らせる出土品や仏画、知善院所蔵の絵画や彫刻をはじめとする貴重な資料を通じ、長浜曳山祭を生んだ長浜の美術と文化について紹介します。

企画展情報

開催期間:
平成29年7月18日(火)から平成29年9月17日(日)
会場:
長浜市曳山博物館 1F曳山展示室
開館時間:
9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:
年末年始(12月29日~1月3日)
入場料:
大人600円、小中学生300円
※長浜市・米原市の小中学生は無料

展示資料画像

猩々丸図 江戸時代後期 個人蔵
山縣岐鳳筆 圓龍上人像 寛政12年(1800)頃 知善院蔵
十三仏図 永禄12年(1569) 知善院蔵
柿経 安土桃山時代 長浜市蔵